語りSS(1)
一度気になりだすと、もうどうにも止まらなくなってしまう。
自らの失われた時代を取り戻すためなのだと自分自身に言い聞かせて、僕は君を求める。
「これじゃあ泥沼だ…」
押し込めれば押し込めるほど、僕は君を渇望していた。
ニャー
「お帰り、デイジー」
花椿さんが呼んでいた君のあだ名を名に持つ猫を、赤い首輪で僕のモノなのだと主張した白猫を抱えているだけでこの気持ちが治まればと幾度も願った。
けれど僕のそんな想いなど何処吹く風。
今では君の姿を広い校舎の中で追い求めるほどに大きくなってしまった。
猫は僕の元から去ってもいい。
代わりに君が僕の元に来るのなら。
それは今は望んではいけないこと。
口にしてはいけないこと。
もしも許されるのなら、君が僕の生徒でなくなったその時に
この
想いを。